この星の格闘技を追いかける

【on this day in】2月07日──2013年

07 02 13【写真】アコップ・ステパーリャンの後ろ回し蹴りがマルロン・サンドロを襲う(C)KEITH MILLS

Bellator88
@ジョージア州ダルース、グヴィネット・センター
「もう15年は前の話だ。とあるプロデューサーと呼ばれていた人が、友人のライターに『高島学が格闘技雑誌で原稿を書いている限り、格闘技は人気がでない』とわざわざ言ったそうだ(笑)。その友人が『わざわざ』、そのことを伝えてくれた時、怒りで目が三角になっていた。僕が格闘技雑誌で原稿を書き続けている間、格闘技は物凄い勢いで人気を獲得していった。もちろん、自分が関与していたなんて、これっぽっちも思ってもいない。格闘技が格闘技として世に伝わらなければ、別に人気なんかなくて良いと思っていた僕は、その仮初めの繁栄の恩恵を受けて好きな格闘技を追いかけることができた。なんてことを、今、わざわざ書いてしまうのは、アコップ・ステパーニャンの後ろ回し蹴りにマルロン・サンドロが懸命になって組みつこうとしていた頃のベラトールって、面白かったなぁと改めて思ったから。フェザー級トーナメントにはステパーニャン以外にフロド・カズブラエフがいて、ひとつ前のシーズンの優勝はシャウブラット・シャムカラエフだった。キンボと契約したベラトールには、彼らロシア人は一人も残っていない。ただ強いからといって一つの階級に、ロシア人は3人も必要ないのは分かる。でも1人ぐらいいても良いのに、フロドなんてビザの問題ということで同トーナメント優勝後、一度もベラトールで戦うチャンスを与えられなかった。それがSpikeの本気度。米国の一般層にMMAを定着させるがための手段だ。まぁ、自分の好きなMMAだとお茶の間の人気は獲得できないのだろう。でも、その面白さを伝えるのが、やっぱり僕の仕事なんだと思う。なぜ、最終ラウンドにマルロンはステパーニャンをテイクダウンできたのか。それを考えることの楽しさを、追及して生きていこうと――今は、目を細めた状態で思える」

on this day in──記者生活20年を終えようという当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。

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