この星の格闘技を追いかける

【2014-2015】扇久保博正<02>「僕の理想像は…大山倍達」

Hiromasa Ogikubo【写真】インタビュー時点で2015年度緒戦が決まっていなかった扇久保。少しでも次の目標が定まってほしいものだ(C)MMAPLANET

2015年、引き続き注目したいファイターの声。VTJフライ級トーナメントを制した扇久保博正インタビュー後編をお届けしたい。DEEPチャンピオン元谷友貴との対戦表明、そして堀口恭司に対する偽らざる思いとは。

<扇久保博正インタビューPart.01はコチラから>

――今の扇久保選手は簡単に対戦相手が見つかる状況ではないと思います。

「だから元谷選手あり気というよりも、誰か相手はいるかなと考えた時に頭に浮かんだのが元谷選手で、あの流れで名前を出せば盛り上がるんじゃないかなと思いました。(内藤)のび太も修斗で世界王者になって名前(砂辺光久)を出していたし。そういう気持ちのマイクでしたね」

――ずばり元谷選手とは戦わなければいけない相手だと思いますか。

「どうなんだろう…(しばらく考え込んで)…正直、今はちょっと違うかなと思うんです。あっちも大晦日で外国人選手と決まっちゃったし。僕がVTJのチャンピオンになって、元谷選手もDEEPのチャンピオンになって、その一発目で大晦日にやるから、盛り上がる試合だったと思うんですよ。それがタイミング的には流れてしまったので、今は何が何でも元谷選手とやりたいという気持ちはないかもしれないです」

――確かにマッチメークは水物ですからね。

「それに元谷選手と同じくらい強い選手っていっぱりいると思うんです。僕は和田(竜光)選手も強いと思っているし、日本中どこでも自分と同じ階級の強い選手は気になります」

――扇久保選手もトーナメント優勝で上にいけるという手応えを掴んだのではないですか。

「でも自分はまだまだなんで、もっと経験を積んで『俺、強いな』と思えるようになりたいです」

――扇久保選手ほどキャリアを積んでもまだまだですか。

「まだまだですよ! 僕の理想まではほど遠いです。僕の理想像は…笑われるかもしれないですけど…大山倍達なんですよ。ああいう理屈抜きでものすごく強い人間に憧れがあって、昔から自分もそうなりたいと思っていました。総合で言ったら一時期のエメリヤーエンコ・ヒョードルみたいな」

――ああ…、技術を超越した強さのようなものを持っている人間に憧れているのですね。

「はい。パンチがどうとかレスリングがどうとか…そういう次元じゃなくてとにかく“ヤバい”っていう。僕はそういう人間に憧れて格闘技を始めたので、それを考えると全然です」

――さて2015年の初戦はいつ頃になりそうでしょうか。

「4月1日が誕生日なので、それまでにはやりたいですね」

――やはりVTJの試合を第一に考えていますか。

「VTJの大会スケジュールが発表されていないので、鶴屋(浩)さんと相談しながら考えているところです。まだどこで戦うかは分かりませんが、半年以上は試合間隔を空けたくないので3月には試合したいです」

――トーナメント優勝で扇久保選手自身の可能性は広がったと思いますが、ここからどんなキャリアを積んでいきたいと思っていますか。

「僕としてはもう少し日本で試合をして、チャンスがあればUFCで戦いたいです。さっきも話したみたいに、まだ自分に自信を持てていないので、もっと強くなりたいという気持ちの方が強いです」

――例えば扇久保選手の中で選手の欠場を待って代打出場でUFC参戦という選択肢はない?

「試合までの期間によります。あまりに直近過ぎるのは……。やっぱり僕はUFCに出ることが目標じゃないし、出るには出たけど連敗して即リリースでは意味がないと思うんですよね。自分はUFCに出て稼ぎたいんで、そうなると定期的に試合をしていくだけの実力を身につけてから、UFCで戦いたいです」

――また、TUFのVTJの連携が有耶無耶になり、VTJのトーナメントで優勝しても、その先が見えないのは辛くはないですか。

「だからこそ試合をして価値を高めれば、自ずとチャンスは巡ってくると思うので試合はしたいです」

――いずれにしてもVTJフライ級トーナメント優勝は扇久保選手にとってはターニングポイントになりそうですね。

「それは感じますね。生きていると“流れ”ってあるじゃないですか。2014年はその流れが良い方向に動いた1年だったんですよね。トーナメントで外国人選手とやりたいと思っていたら準決勝&決勝に外国人選手が上がってきてくれて、準決勝ではMVP賞の100万円ももらえて(笑)。トータル的にいい流れが来ていたものをしっかり掴めたかなと思います」

――トーナメント準決勝後のマイクで「勢いのある若い選手が多いけど、自分もまだ若くて上を目指しています」という言葉もありましたが、まさにこれからですね。

「本当にこれからですよ、これから。自分の中ではシーザー戦でやっと総合格闘技の戦い方が分かってきて、総合格闘家になれたかなって思うんです。正直、5分5Rだったので1回戦みたいに途中で酸欠になったら殺されるんじゃないかっていうくらい不安だったんです。でも変に力を使いすぎず、ちょっと力をセーブしながら戦ったら、それが良い方向に出ました。あの試合で力を抜いた戦い方も出来るようになったので、本当に色んなことが良い方向に進みました」

――最後に一つ聞かせてください。扇久保選手も対戦した堀口恭司選手はUFCで活躍していますが、堀口選手のことは気になりますか。

「気になりますね。気になるというか、今の目標のような感じかもしれないです。自分のモチベーション的にUFCに行って、彼と再戦したいと思っているので。今の自分がそれを言える立場じゃないのは分かっていますが、将来的には追いついてやるという気持ちです」

<扇久保博正とMMAPLANET in 2014>

10月4日、VTJ 5th vsシーザー・スクラヴォス&インタビュー
9月7日、インタビュー シーザー・スクラヴォス戦について
6月28日、VTJ4th vsカナ・ハヤット&インタビュー

PR
PR

関連記事

Movie