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【Copa Podio 08】パンザの極めを制したプレギーサがGP制覇。ミヤオ×グリッポは60分で打ち止めに

11月22日(日・現地時間)、リオデジャネイロのジナーシオ・ド・ボタフォゴにてプロ柔術大会コパ・ポジオが開催された。レビュー最終回はミドル級グランプリ決勝の模様と、ジョアオ・ミヤオ×ジャンニ・グリッポ戦の顛末を紹介したい。

<ミドル級GP・決勝戦>
フィリッピ・プレギーサ(ブラジル)
Def. 2-2 アドバンテージ 2-2
ルイス・パンザ(ブラジル)

試合開始後、両者が引き込みを狙ってダブルガードに。プレギーサが上を選択してアドバンテージを取ると、パンザは例によって回転して足狙い。それを重々承知して重心を低くするプレギーサだったが、パンザはその足を掴むと、強引に引き寄せて50/50を作ることに成功する。

そこからは、腹這いの状態を作ってアキレス腱固めを極めようとするパンザと、その道着を引き寄せて防ぐプレギーサという攻防が延々と続くことに。攻防の中で一瞬上半身を起こしたからか、いつの間にかパンザに2点が加わっており、プレギーサとしては50/50から脱出するか上を奪い返さないと負けてしまうという状況に陥っています。パンザはアキレスのグリップをがっちり固めて極めに行く体勢を取り続けることで、体勢の変化を許さない。

残り時間が1分を切ったところで、やっとパンザに膠着のペナルティが一つ入る。それでも状況を打開しないと勝てないプレギーサは、50/50の足を解除できないまま強引に上半身を起こして座ることに成功して2点を獲得、アドバンテージ差で逆転に成功した。残り10秒となったところで今度はパンザが片足で立ち上がるも、プレギーサも同様に立ち上がる。50/50で片足が絡んだ状態でのケンケン相撲の中、プレギーサが押して上の状態で両者がグラウンドにもつれたところで試合終了。パンザのアキレス腱固めを防ぎ、50/50戦を制したプレギーサがミドル級GP2連覇を果たした。

50/50シーソーにおいて上を取る力というものが、柔術という格闘技における強さとして賞賛されるべきことなのかどうかは疑問が残るが、残り数10秒のケンケン状態はこの形特有のエキサイティングな場面であることは確か。何よりも今大会で並み居る強豪たちを秒殺したパンザのアキレス腱固めを、体格で下回るプレギーサが封じてみせたのは事実だ。ニュースクール柔術とオールドスクール柔術の両方で抜群の強さを発揮し、極めの攻防でも負けないプレギーサは、来年の世界柔術ではバッハ内の序列を崩し、どの階級に出ようと優勝候補筆頭といえるだろう。

本来であれば、決勝に先んじて行われる予定だった3位決定戦は、クラウジオ・カラザンスの負傷戦に。グレゴー・グレイシーは準決勝でパンザのアキレス腱固めに敗れただけでなく、足首を負傷しドクターストップが掛かってしまった。前回のヘビー級グランプリでロンドン五輪柔道米国代表トラヴィス・スティーブンスの足首を破壊したのに続き、パンザは今回も壊し屋ぶりを見せつけたこととなる。

【ミドル級GP結果】
優勝 フィリッピ・プレギーサ(ブラジル)
準優勝 ルイス・パンザ(ブラジル)
3位 クラウジオ・カラザンス(ブラジル)

なお、スーパーファイトで組まれていたジョアオ・ミヤオとジャンニ・グリッポの一戦は、なんと60分に及びダブルガードの展開が続き、ついに試合は打ち切られるという事態に。前代未聞の決定を下したコパ・ポジオのジェフィソン・マイカ代表は「この似通ったポイントゲームをする2人の似通った選手の対戦を組み、ノーポイントと時間制限がない状況でサブミッション決着が見られるかと思っていたんだ。でも、ちょっと時間が掛かり過ぎたから、一旦はここで打ち止めとし今後の大会で改めて続けることにする。我々のスーパーファイトには引き分け結果はないからね」と語っている。まるでナイター設備のない野球場での日没サスペンデッドゲームのような裁定が下されたわけだが──、両者が背中をマットに延々と付け合っていた柔術をファンがまた見たいかどうかは、検討の余地があるだろう。

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