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【OFC06】イヴォルブから世界へ、柔術黒帯+ムエタイのゾロ&イッサ

2012.10.02

Zoro & Issa

【写真】上が首相撲+ヒザ&ヒジのゾロ・モレイラ。下が間合い+ロー&テイクダウンのレアンドロ・イッサ。ともにヘンゾ系の黒帯柔術家だ (C) MMAPLANET

6日(土・現地時間)にシンガポール・インドアスタジムで開催されるONE FC06「Rise of Kings」では、OFCにとって、初の世界王座戦が組まれている。当初の予定では3階級の王座決定戦を行うと発表していたが、現時点ではOFCライト級王者決定戦ソロバベル・ゾロ・モレイラ×朴光哲、同バンタム級王座決定戦レアンドロ・イッサ×キム・スーチョル戦の2試合のみ行われる模様だ。

8月31日のフィリピン大会では、オクタゴン内でホナリオ・ナバリオとエリック・ケリーの王座決定戦を行うと明言されたフェザー級王座決定戦だが、現時点で実現するアナウンスはなされていない。結果、シンガポールに拠点を置くイヴォルブMMA寄りのカードになったが、アジアン・レジデンスとしてゾロ・モレイラはライト級のトップであることは間違いない。

2005年ブラジリアン柔術世界大会茶帯メジオ級優勝という実績を持つゾロ。柔術世界大会は2007年より米国開催となり、圧倒的な層の厚さを誇るブラジル勢の茶帯以下での参戦が減少し、現在とブラジル時代では色帯で入賞する難易度は比較にならず、ゾロの2005年茶帯優勝という結果は知る人ぞ知る、金字塔のようなものだ。

そんな柔術の実力者が、イヴォルブMMAでムエタイのトレーニングにより、首相撲の展開で相当な強さを発揮するようになった。ヒザやケージ際のエルボーは、世界トップレベルにあるといってもおかしくない。つまり柔術での実績、ムエタイとの融合、ゾロはアジアを代表するライト級ファイターに成長していることになる。

OFCには昨年9月の旗揚げ戦から参戦し、アンディ・ウォン、フェリペ・エノモト、そしてロジャー・フエルタから3試合連続で一本、またはKO勝ちを収めているゾロ。ただし、ウォンとフエルタ戦は契約体重だったこともあり、朴戦がライト級で2試合目ということになる。減量&リカバリーが順調であれば、朴とはフィジカルの差は明白だが、そこはこの世界戦が9試合目のファイター、日本のMMAファンからすれば朴に平坦でなかった格闘家人生で培った全てをぶつけてほしいと願っているだろう。

一方、バンタム級王座奪取を目指す、ゾロの同門イッサは2004年ブラジリアン柔術世界大会茶帯ペナ級を制している実力者で、イヴォルブでトレーニングを行った北岡悟や、同門・青木真也が彼の柔術での強さに舌を巻いているという話も伝わってくる。

同じくイヴォルブでムエタイを学ぶ柔術の強豪ゾロとイッサだが、肉体的特徴は違っており、イッサはゾロのようにリーチやコンパスが長い方ではない。そのため彼の場合は間合い、そしてローに主力を置いたムエタイMMAテクを駆使する印象が強い。今回の対戦相手のキム・スーチョルとは、既に昨年9月に対戦しており、その時は打撃単体でイッサを上回るキム・スーチョルを、ローとテイクダウンの連係で破っている。

攻守ともにテイクダウンに優れたファイターと戦った場合、近距離で首相撲という武器を持つゾロと比較すると、イッサは踏み込まれた場合には、打ち負ける展開もあり得る。だからこそ、この試合ではイッサが如何に間合いを取るかと、近距離での打撃戦の成長度合い、加えてキム・スーチョルのテイクダウンディフェンスが勝負の鍵を握ってくるだろう。

シンガポールベースのブラジル人が、ムエタイと柔術を駆使しつつ、全く違ったセオリーをもってMMAを戦う。ゾロとイッサ、両者を見比べる――MMAを理解するという意味でも、興味深い王座戦でもある。

■ONE FC06「Rise of Kings」対戦カード

<OFCライト選手権試合>
ソロパベル・”ゾロ”・モレイラ(ブラジル)
朴光哲(日本)

<OFCバンタム級選手権試合R>
レアンドロ・イッサ(ブラジル)
キム・スーチョル(韓国)

<ライト級/5分3R>
青木真也(日本)
アルナウド・ルポン(フランス)

<ミドル級/5分3R>
川村亮(日本)
メルビン・マヌーフ(オランダ)

<バンタム級GP準々決勝/5分3R>
ジェンズ・パルバー(米国)
ヂァオ・ヤンフェイ(中国)

<バンタム級GP準々決勝/5分3R>
上田将勝(日本)
ソン・ミンジュン(韓国)

<バンタムGP準々決勝/5分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
ユサップ・サーデュラエフ(ロシア)

<フライ級/5分3R>
ブルース・ロウ(シンガポール)
ジャニ・スッバ(マレーシア)

<フェザー級/5分3R>
ヌガビディ・ムラディ(インドネシア)
ミッチ・チルソン(米国)

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