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【WSOF15】WSOF世界ミドル級王座挑戦を控え、岡見勇信 「日本でできることに重点をおいて」

Yushin Okami【写真】最近では普段の体重も以前よりは抑え気味で、体調維持に努めていた岡見。動きもシャープだ(C)MMAPLANET

15日(土・現地時間)、フロリダ州タンパのUSFサンドームで開催されるWSOF 15「Branch vs Okami」。大会名にある通り、岡見勇信がデヴィッド・ブランチの持つWSOF世界ミドル級王座に挑戦する。

3月のWSOF初陣から8カ月、どうにも右に左に軸がぶれるWSOFのイベント開催スケジュール+マッチメイクにも忍の一字で自らを練り上げることに費やしてきた岡見。米国メジャー系世界王座挑戦を前にして、その意気込みを尋ねた。

――ようやくWSOF世界ミドル級選手権試合が決定しました。

「そうですね、ようやく着地できそうです(笑)」

――8月の日本大会、10月にラスベガスなど会見などでアナウンスがあっても正式発表とはまた違い、いつの間にか有耶無耶にしている。そんなイメージを傍から見てもWSOFは持っていました。

「基本的に8月に向けて調整していたのですが、正直なところ8月に関しては、最初から本当にやるのかっていう気持ちでいました。直前にトーナメントの決勝戦があるのに、タイトルマッチなんてできるのかっていう疑心暗鬼のような感じで、とにかく言われているので8月を目途に調整は続けて。結果的になく、まぁ10月はあると思っていたんですけど、それもなくなって(笑)。

精神的に浮き沈みはあったのですが、3月の経験があったので練習への向かい方がブレることはなかったです。そうやって考えると3月の試合前の方が厳しかったです。あの経験があったので、今回は平気でしたね」

――この間、お子さんが生まれ精神的にも岡見選手の覚悟の量が違っているということは?

「そこはやっぱり違いますよね、子供が生まれてからとそれ以前は。大変ですけど、本当に可愛いですしね」

――試合前ですが、現実問題として夜泣きに悩まされることなどはないですか。

「夜泣きはあります。ただ、寝る部屋を今は別にしてもらっています。そこは我慢してもらえました」

――一緒にいて、授乳の時は一緒に起きていようなんて第一子の時はお父さんも頑張ろうとするのですが、結局、起きていられないので、余計に奥さんがイライラするというのは、自分も経験上あります。

「ソレを良く聞いたんです。結局、寝ているからイライラしてしまうって。だから、外堀を上手く埋めていきました(笑)。とにかく子供が生まれたことが、新たな力になっています」

――ところで11月15日に世界戦が正式に決まったのは、いつになりますか。

「正式決定ですか……、色々な手続きがあったのでいつが正式なのかは、あまり定かじゃないですね(笑)」

――なるほど(笑)。では王者ブランチの印象を教えて下さい。

「何もかも滞りなく出来る選手、でも柔術家かかなぁと。寝技対策もしていますが、あまりそこだけに捉われられずに全体的に、フィジカルも力を入れて調整しています。今回は日本での調整になったので、日本でできることに重点をおいて」

――ミドル級トーナメント決勝はブランチとジェシー・テイラーの間で行われたのですが、どちらが勝つと思っていましたか。

【写真】6月21日のトーナメント決勝で、ブランチはクォーターネルソンからテイラーをひっくり返しダースチョークを極めた(C)GONGKAKUTOGI

【写真】6月21日のトーナメント決勝で、ブランチはクォーターネルソンからテイラーをひっくり返しダースチョークを極めた(C)GONGKAKUTOGI

「やっぱりブランチが勝つと思っていました」

──そのブランチですが、アンソニー・ジョンソン戦では打撃に全く付き合わず判定負けという形でしたが、他の試合では自ら打撃戦に持ち込むこともあります。

「荒い打撃をガンガン打ち込んでいますね。基本的にはそこまで打ち合うタイプではないですが、行くときは行くというタイプです」

──そして、何よりも先ほど岡見選手が言ったように寝技。テイラーを破ったダースは見事でした。

「綺麗な流れを作って、極めていました。WSOFで連勝して、チャンピオンになって勝ち方だったり、風格だったりというものはついてきているのかと。UFCで戦っていた頃より進化していると思います」

──対して岡見選手がUFCで戦っている時よりも成長した点はどこなのでしょうか。

「うん、本当に調整期間が長くて、その間もずっと詰めて練習はしてきました。自分が成長している部分は……、まぁ単純にフィジカルだとか、左右のバランスであったりだとか。米国でできることと日本でできることは違うので、日本でできることを徹底的にやることでコンディションやフィジカル的には米国で練習してきた時よりも、今が一番良いのかっていう感じはします」

──日本でスパーをしていると、攻め込まれることなどないのではないですか。

「そんなこと、ないですよ(笑)。やられていますよ。福田(力)選手、川口(賢)選手、水野(竜也)選手、皆、試合が決まっていたので、ハードな練習を繰り返してきました。重量級のプロ練習を始めて、かなりの時間も経過しましたし、スパーでも楽はできないです。それはもう、僕が言うのはなんですが、皆成長している。もう厳しいですよ。

今日も昼間、福田さんと水野さんと3人でグラップリングスパーを延々と回していたのですが、もうきついです。この3人で回していると。力もあるし、経験も積んでいる。何より目指しているところも高いですから。全部出しています。同じ階級が多いですけど、皆、海外でやっていますし、戦うことはない。日本でやっている選手たちは、練習仲間と戦うことがあるかもしれない。そういう厳しい状況で戦っているんだと改めて思いますね。

もちろん、プロなのでいくら一緒に練習していても、求められれば戦うのでしょうが……。やはり練習仲間とは、本当に求められないと僕は戦う気持ちにはなれないです」

──ところで慧舟會でいえば、先輩にあたる高瀬大樹選手も練習に合流しているようですね。パッキャオ+メイウェザー+ヒクソンに加えて、ダニエル・コーミエー化も図っていると聞いています。

「ダニエル・コーミエーですか、高瀬さん変わらず最高です(笑)。僕は昔の高瀬さんを知っているので、スタイルも変わって。なのに寝技も変わらず、抜群に強いですし」

──なるほど。先ほど言われた日本でしかできない練習というのは、どのような練習になるのでしょうか。

「レスリングやグラップリングを徹底的にやり込むということですね。米国ではそれがあまりできない」

──なぜ、米国では徹底的にやりこむことができないのでしょうか。

「米国に比べると日本は練習時間が絶対的に長いです。それは打撃のミット、スパーリングもそうだし、フィジカルや走り込みにも通じます。米国ではなかなか、フィジカルや走り込みもできない部分があったので、そこはやり込みました。自分が納得できるまでやれるということは感じています。

米国でキャンプを張って来たのは、その目的が外国人選手の強さをスパーリングで体感することでした。そこをクリアして、今回はコンディションをしっかり作る、納得できるまでやって相手に全部をぶつけるということだったので、国内で調整することにしたんです。前回から日本で試合前を過ごして、そういう部分でも状態は最高に良いです」

<この項、続く>

■WSOF15対戦カード

<WSOF世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者] デヴィッド・ブランチ(米国)
[挑戦者] 岡見勇信(日本)

<WSOF世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者] ジャスティン・ゲイジー(米国)
[挑戦者] メルヴィン・ギラード(米国)

<WSOF世界ストロー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジェシカ・アギラー(米国)
[挑戦者]カリンドラ・ファリア(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジョルジ・マカコ・パチーノ(ブラジル)
エリック・レイノルズ(米国)

<フェザー級/5分3R>
アンデウソン・ハッチンソン(米国)
トロイ・ゲアハート(米国)

<ミドル級/5分3R>
レジー・ペニャ(米国)
ジョー・ジョンソン(米国)

<バンタム級/5分3R>
エディア・テリー(ベネズエラ)
アンドリュー・コナーズ(米国)

<ライト級/5分3R>
ジョゼ・コルテス(コロンビア)
ライアン・キーナン(米国)

<ライト級/5分3R>
トニー・ウェイ(米国)
フレデリコ・モンカイオ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
モーリス・サーモン(米国)
デイビッド・マンデル(米国)

<ミドル級/5分3R>
ヘクター・オチョア(米国)
ロバート・リード(米国)

<ライト級/5分3R>
ジョシュ・ザッカーマン(米国)
マット・フレヴォラ(米国)

<バンタム級/5分3R>
スティーブン・エスキベル(米国)
クリスチャン・リード(米国)

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