この星の格闘技を追いかける

【Interview】新生ミノワマンが韓国で感じたこと――(前編)

2012.09.17

Minowaman

【写真】観客のファンが一気に盛り上がったミノワマンの入場 (C) MMAPLANET

15日(土・現地時間)に韓国のウォンジュ市チアク体育館で行われたRFC 09「BEATDOWN」に出場したミノワマン。ユク・ジンスを相手に戦った一戦は、以前のモンスター、リアルプロレスラー路線を思わせるマッチメイクだったが、この試合に臨む彼の気持ちは、インドのSLFでアレキサンダー・シュレメンコに敗れた時に誓った、MMAファイター美濃輪育久のままだった。

と同時に、かつての修行地だった韓国で6年振りのファイトに現地のファンの優しさを感じたという。5カ月振りの復帰戦を韓国で迎えたミノワマンを試合後にインタビューした。

――ユク・ジンスにアームロックで勝利したミノワマン選手ですが、正直、この試合でああいう風に勝ったことをおめでとうございますと言っていいのか、考えてしまう――そんな試合でした。

「いえ、その通りだと思います。最初、この試合のオファーを受けたときは断ったんです。対戦相手はキャリアを考えると、この試合の意味というものを自分も考えてしまいまして。

4月のインドでケガをして、これまで試合数が多いこと、プロレスと平行してMMAを続けることを見つめ直しました。この間、5カ月の間は試合をしないで、体を治すことをまず考え、練習もゼロから見つめ直し、色々な方向性を模索していました。

これまで蓄積していた細かいケガも含め、ケアをしてきたので復帰戦は良い相手と、良い試合、良いイベントで――という風に思っていました。RFCがとても熱心に誘ってくれたこと、そして思い入れのある韓国での試合、復帰戦ということもあり、今回の試合を受けることにしました」

――実際、5カ月間体を治すことに専念していると、その間は試合で稼ぐことはできないです。試合をしないならしないで焦ってきますよね。

「そうですね。ただ、だからといって試合を詰め込むと、これまでと同じことになってしまうので……。そこはしっかりとスパンを置いて戦うという方向性で、プロレスの試合もとりやめて、MMAに専念しようと。そのなかで、実生活のこともあり、今回のケージが使われた試合に挑むことになったんです」

――ほぼ実績ゼロ、娘さんが難病と闘うというサイドストーリーを持ったユク・ジンスを相手に、非常に慎重に戦っていました。

「久しぶりの試合だったことは影響しましたね。ブランクがありました。この試合を受けたことで、また以前のような姿勢でMMAを戦うかと思われてしまうかもしれないですが、今もインドで負けた時の気持ちのままです。本当、あの試合は悔しかったですし、良い意味で勉強になった試合でした」

――世界の頂点を目指す云々のMMAではなかったかもしれないですが、韓国のウォンジュという街の会場をミノワマン色に染めたのは、それはそれでミノワマンというファイターがこれまでやってきたことの表れだと思い感心してしましました。

「あれは自分もビックリしました。PRIDEが終り、DREAMも地上波でない状況で、もう自分のことなんて忘れられているかなって思っていたんです。実際、入場式でも相手選手はTVなんかでストーリーが伝えられていたので、凄く声援が大きかった。

僕の名前が呼ばれても、まばらな拍手だったんで、ここも含め、やり直しなんだって思っていたんです。逆にもうそういう人気とか気にしないで戦えるんだっていうぐらいで」

――そうすると、実際に入場したときには大声援で。

「アレって思いました(笑)。ビックリしましたね。同時にお客さんの温かさに感謝しました。試合自体も一緒に選手を盛り上げようという感じのファンで、そこもファンの優しさが感じられました。

会場の雰囲気もとても良かったですね」
(この項、続く)

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