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【UFC177】挑戦者バラォン。王座返り咲きへの鍵は、ディラショー・ステップを止めることができるか否か

Dillashaw vs Barao【写真】僅か3カ月のインターバル。挑戦者となったバラォンが、どのようなディラショー・ステップ対策を見せるか(写真は初戦の計量時のモノ)(C)MMAPLANET

30日(土・現地時間)にカリフォルニア州サクラメントのスリープトレイン・アリーナで開催されるUFC177「Dillashaw vs Barao 2」。ライトヘビー級世界戦の動向の煽りを受けまくった大会が、いよいよ今週末に近づいてきた。

当初、UFC世界ライトヘビー級選手権試合ジョン・ジョーンズ×アレクサンダー・グスタフソン戦をメインにMGMグランドガーテンアリーナで開かれる予定だった今大会。しかし、同世界戦の順延決定とともに開催地がベガスからサクラメントへ移動、メインはUFC世界バンタム級選手権試合TJ・ディラショー×ヘナン・バラォン戦、そして世界フライ級選手権試合デメトリウス・ジョンソン×クリス・カリアソのセミとダブルクラウンが売りのイベントとなった。

ところがJJ×ダニエル・コーミエー戦に変更され9月27日(土・同)のUFC178のヘッドライナーとなっていたUFCライトヘビー級世界戦が、JJの負傷で来年まで延期。DJ×カリアソ戦が同大会にスライドされることとなった。メイン級のカードの変更、負のスパイラルがまたも巻き起こっているUFCだが、イベントの規模は抜きにして、ディラショー×バラォンの再戦は見所が非常に多い。

5月の対戦で絶対王者と呼ばれたバラォンを5R2分26秒で仕留めたディラショー。実に1R残り1分から18分30秒間、ほぼ試合を一方的に進めた完勝劇だった。細かいスイッチと長いリーチを生かした左右のジャブ、アッパーという上下からの攻撃でバラォンを混乱させたディラショーは、オーソの構えから右オーバーハンド気味のパンチでダウンを奪った。バラォンはダウンを取られた右ストレートの残像が脳裏に刻みこまれたか、正中線上に右を持ってくると、すぐに反応を示し頭を右にスライドさせるようになる。この移動により、バラォンはディラショーの左ハイを受けやすくなる。

ここからはディラショーはオンステージさながらの動きを披露し続け、オーソからの右だけでなく、サウスポーからの右も楽々とヒットさせていく。バラォンはさらに右手前の構えからシングルレッグを受け、背中を譲る展開に持ち込まれるや、完全にディラショーの掌の上で踊らされることとなった。前蹴りで距離をコントロールし、回転系の蹴りとストレート、接近戦ではテイクダウンを取れるウェルラウンダーのベラォンが、ディラショーの左右、上中下、拳、足、さらにテイクダウンと変幻自在の攻撃に翻弄され、最後はサウスポーの構えからの左ハイ&追撃の連打でキャンバスに沈んだ。

減量失敗という話が聞かれたバラォンだが、大敗の要因はその影響だけでないことは確かだ。だからこそ、万全の体調で挑戦者として世界戦を迎えたとしても、ドミニク・クルーズのスタイルにパワーを加えたようなディラショーの最先端MMAステップワークを、僅か3カ月のインターバルで攻略できるのか。あの動きに惑わされないためには、中間から長距離という本来はバラォンが得意としていた間合いを捨てることが必要かもしれない。

鋭い右アッパーでバラォンの前進を拒み、ダウンを取ってからは接近戦でもバラォンを圧倒したディラショーだが、その接近戦に関してはパンチを被弾する場面も1度や2度ではなかった。もちろん、ダメージと体力を消耗しているバラォン相手だからこそ、あの距離で戦うことに応じたディラショーだろうが、今回の対戦ではバラォンとしては即接近戦に持ち込み、あのステップワークを使わせないことが大切になってくる。

組んでケージに押し込む、尻餅をつかせる。それだけでもディラショーの動きに影響がでるはずだ。もちろん、ディラショーは接近戦を許さないために、あの独特のステップを駆使するだろうが、1発、2発を被弾し、テイクダウンもスプロールされる覚悟でバラォンは前に出るしかない。リスクは高くなり、賭けという色合いの強い選択になるが、あれだけの大敗を喫した後だ、リスクを背負うのは当たり前、それだけの覚悟が必要となる。

■UFC177対戦カード

<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] TJ・ディラショー(米国)
[挑戦者] ヘナン・バラォン(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
トニー・ファーガソン(米国)
ダニー・カスティーリョ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
ベチ・コヘイア(ブラジル)
シャイナ・ベイズラー(米国)

<ライト級/5分3R>
ラムジー・ニジェム(米国)
カルロス・ディエゴ・フェレイラ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ヤンシー・メデイロス(米国)
デイモン・ジョンソン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ロレンツ・ラーキン(米国)
デレック・ブルンソン(米国)

<フライ級/5分3R>
スコット・ヨルゲンセン(米国)
ヘンリー・セフード(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ルアン・ポッツ(南アフリカ)
アンソニー・ハミルトン(米国)

<バンタム級/5分3R>
ジョー・ソト(米国)
アンソニー・バーチャック(米国)

<ライト級/5分3R>
クリス・ウェード(米国)
ケイン・カリゾサ(米国)

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