この星の格闘技を追いかける

【OFC19】難攻不落のアスクレン、チャンピオン鈴木信達の狙いは腹。注意したい四点ヒザ……

Suzuki vs Askren【写真】UFCも嫌がった強さを持つベン・アスクレンに対し、鈴木信達は百……、千……、万に一つの勝機を必勝とできるか (C)MMAPLANET&BELLATOR

29日(金・現地時間)、UAEはドバイのWTCでONE FC19「Reign of Champions」が開催される。今回のトリプル・クラウはある意味、日本×Worldという見方もでき、3人の日本人OFC世界王者がそれぞれイラン、米国、モンゴル人選手の挑戦を受ける。その中堅戦といえる鈴木信達の王座初防衛戦は、正真正銘のワールドクラス・ファイターとの対戦となる。

昨年5月にフィル・バローニを破ったことで、当初は半年後にマレーシア人のアダム・カユーンと王座決定戦に挑む予定だった鈴木だが、カユーンとOFCの契約問題がもつれたことで、この一戦は消滅。鈴木は今年の3月にフィル・バローニを破り、初代OFC世界ウェルター級王者となるも、この間にベン・アスクレンが同プロモーションと契約を結んでいた。チャンピオンになった時点で鈴木自身が自らの王座を風前の灯と称するようになっていた……そんな背景がこの一戦にはある。

元Bellator世界ウェルター級王者のアスクレン、MMA戦績は13勝0敗でNCAAを2度制したオリンピアン・レスラーは、いくらでもその偉業を称える言葉を並べることができるファイターだ。ベラトールとの契約満了後、UFC入りを本人も訴えていたが、それは自らの強さを世に認めさせるための最善の策で、UFCへの尊敬心から芽生えた気持ちではなかった。そして、UFCとの契約交渉が不調に終わると、彼に最大の評価を与えたOFCと契約を果たした。

指が一本掛かればテイクダウンができる。相手に触れると最後、必ず上を取る。そんな形容がピタリと当てはまる当代切ってのナンバーワン、テイクダウン&コントロールの猛者は、5月にOFCデビューを飾り、今回の挑戦権を手に入れた。下馬評は圧倒的にアスクレン有利、それでもチャンピオン鈴木は自らの蹴りの威力を「100×1の一でも、その一つを百にできる」と信じ、腹への蹴りで勝負を懸ける。超一流のファイターは、頭を蹴っても無意識でもいつものように戦い続けることができるが、腹を効かせるとそういうわけにはいかない、それが鈴木の自論だ。

ただし、その腹に蹴りを命中させる難しさも十分に理解している。アスクレンはこれまでにドゥグラス・リマ、アンドレイ・コレシュコフという鈴木以上といっても過言でないストライカーの打撃を完封してきた。いや、打たせて倒してきた。鈴木も「一発でなく二発」ヒットが必要と考えているなか、鈴木を上回るフィジカルの持ち主である両者に、2発を許すことはなかったアスクレン。ただし、コレシュコフもリマも常に前に出る打撃、蹴り技を駆使してきたファイターだ。アスクレンは打撃を被弾するのを覚悟でテイクダウンを仕掛けてくるのは明らか、そこで下がって威力のある蹴りを入れることができるかが鍵を握ってくる。特にアスクレンは1発で倒そうとしない、懐に入ると、そこから足を前に出し、二歩、三歩と距離を詰めてくることは頭に入れておきたい。

鈴木がテイクダウンを奪われると、勝利から遠ざかるのは火を見るより明らかだが、特に気をつけたいのは4点ヒザだ。レスラーのアスクレンを相手に、4点ヒザがあるルールが鈴木にとって有利な局面も、腹を効かした後なら生まれてくる。と同時に、卓越したグラウンドコントロール術を持つアスクレンが、がぶってからのヒザを使ってくるようだと、ユニファイドルール時代にはなかった必殺のTKOパターンに十分になりえる。鈴木は亀になるようだとバックマウントよりも、亀になってヒザを入れられることに対し、最善の注意を払いたい。

■ OFC19対戦カード

<OFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
青木真也(日本)
カマル・シャロルス(イラン)

<OFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
鈴木信達(日本)
ベン・アスクレン(米国)

<OFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
大石幸史(日本)
ジャダンバ・ナラントンガラグ(モンゴル)

<ライト級/5分3R>
ロジャー・フエルタ(米国)
クリスチャン・ホリー(英国)

<フェザー級/5分3R>
エウベウ・バーンズ(ブラジル)
田中半蔵(日本)

<フライ級/5分3R>
デェダムロン・ソーアミュアイシルチョーク(タイ)
アリ・ヤコブ(マレーシア)

<ライトヘビー級/5分3R>
ジェイムス・マックスウィーニー(英国)
クリスチアーノ上西(ブラジル)

<キャッチウェイト/5分3R>
ヴォーン・ドネール(フィリピン)
モハメド・ワリッド(UAE)

<女子フライ級/5分3R>
アン・オスマン(マレーシア)
アナ・フラトン(米国)

PR
PR

関連記事

Movie