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【GRACHAN14×マッハ祭り】王座奪取、手塚基伸の目標

Motonbu Tezuka

【写真】ベルトを巻いた手塚基伸は防衛戦、他団体へのお礼参り、そして所英男との対戦という今後の目標を掲げた (C)TAKUMI NAKAMURA

20日(日)東京都江東区のディファ有明で開催された「GRACHAN14×マッハ祭り」。メインで手塚基伸が中村謙作との再戦に勝利し、第3代GRACHAN MMAバンタム級チャンピオンの座に輝いた。

<GRACHAN MMAバンタム級選手権試合/5分3R>
手塚基伸(日本)
Def.3-0
中村謙作(日本)

両者は4月に同王座をかけて対戦し、ジャッジ1名が手塚を支持するもののドローに終わり、王者・中村が防衛に成功した。その一戦から3カ月という短いインターバルで、再び両者による王座戦が決まり、決着戦を迎えることとなった。

試合は序盤から手塚がペースを握った。サウスポーの手塚はインローと左ハイキック、中村の前足に左右ローを蹴りながら左ストレートにつなげる。中村もジャブを突いて右のパンチを振って前に出ていくが、手塚はしっかりと距離を測り、上体のフェイントを入れながら左ストレートを何発も突き刺していく。

2Rに入っても手塚の左ストレートが冴え渡り、ダブルレッグでテイクダウンにも成功。ここはブレイクとなるも、再開後に手塚は距離を測っての左ストレートを当て、ノーモーションで飛び込みながら放つ左ストレートも当てる。終盤、スクランブルの攻防で下になる手塚だったが、すぐさま中村を三角絞めに捕獲して、下からのヒジ打ち連打で攻勢をアピールした。

Triangle【写真】下になっても攻撃的に戦った(C)TAKUMI NAKAMURA

3R、反撃に転じたい中村も左フックを当てるが、手塚が右フックを当てて左ハイキック。中村が右のパンチで前に出ると、距離を取りながら左のヒザ蹴りを突き刺す。そして残り30秒、ダブルレッグから組みついた手塚が渾身のテイクダウンから、マウントポジションを奪取。試合終了までマウントキープし、パンチとヒジ打ちを落とし続けた。

テイクダウン・グラウンドの攻防はもちろんのこと、スタンドの展開でも的確に左ストレートを当て続けた手塚。今回は文句なしの判定3-0で勝利し、新王座に就いた。

試合後、手塚は「今回、中村選手にとっては受けんでもいい試合だったと思うけど、やってくれてありがとう。再戦を組んでくれたGRACHAN関係者の方もありがとうございます」と対戦相手の中村と主催者に感謝の言葉。

「このベルトを獲ったからには防衛していくし、このベルトと一緒に今まで自分が負けた団体に借りを返していきたい」とGRACHAN王者としての他団体進出に意欲をのぞかせ「自分は10年前に格闘技を始めて、その時から“戦うフリーター”として輝いている選手と戦いたい」と所英男との対戦をアピールした。

試合が終わりバックステージに戻って来るなり手塚は「2年ぶりに勝てました」と勝利の喜びよりも安堵感を口にした。インタビューでは打撃技術の向上やMMAファイターとしての成長について話し、改めて今後の目標についても語った。

――中村選手との決着戦に勝利し、腰にベルトが巻かれています。率直にどんな心境ですか。

「この前はあんな結果に終わって、今回はどうしても勝たないといけないと思っていました。それプラス内容も伴わないといけないと思っていて、判定でしたけど5分3Rトータル的に取りに行けたかなと思います」

――勝利そのものも2年ぶりでした。久々の勝利の味はいかがでしょう。

「むっちゃうれしいです。それに僕、今までケージで一回も勝ったことがなかったんです。ケージフォースのデビュー戦も勝てなかったし、ケージ戦績全敗で前回の中村戦が初ドローみたいな(苦笑)。だからケージで初勝利を挙げられて一皮むけたかなと思います」

――この3カ月間はどんなことを意識して練習してきたのですか。

「僕、今までマススパーはよくやっていたんですけど、ガチスパーはほとんどやらなかったんです。でも今回はヘッドギアをつけ殴り合うガチスパーもやるようにしました。あとはチーム・バジリスク(※週2回、パラエストラ大阪で行われているプロ選手の練習会)で練習したり、ボクシングジムにも通わせてもらっています。そうやって所属しているコブラ会の練習とは別にいい感じにチームとしてやっていけているんで、それが影響している気がします」

――今回の試合では左ストレートが有効でしたが、練習のたまものですか。

「そうですね。今まではボクシングジムで綺麗な左ストレートを練習していたんですけど、今回はそれを少しアレンジしたんです。どうしてもMMAでは普通に真っ直ぐ打っても当たらないじゃないですか。だからタックルのフェイントを入れて打ったり、ちょっとタイミングをずらして打つ練習をしていました。いい意味でボクシングで練習したものを崩して自分が当てやすい打ち方にしました」

Left head-kicking【写真】間合いをコントロールできたことで、左ハイも良いタイミングで放つことができたか(C)TAKUMI NAKAMURA

――その前段階の右手での距離の測り方など、かなり相手をコントロールできている感じはあったのではないですか。

「どうなんですかね…でも僕の空間で戦えていたとは思います」

――3Rには左ハイキックやヒザ蹴りも当てて、打撃の引き出しを見せましたね。

「相手の左のパンチが見えるようになったんで狙ってみました。一緒に練習している(石原)夜叉坊がああいう技を得意にしているんで色々と教わっていたんですよ。3Rはそれを出せそうなタイミングがあったので、思い切って出したら上手く当たってくれました」

――今までにない動きを試合で出せたという意味でも収穫の多かった勝利ですね。

「まさにその通りです。昔の僕は打撃が打撃、グラップリングはグラップリングと分けて練習していたんですけど、今はもっとトータルにMMAとして練習しているようにしています。ガードを固めて突進するしかなかった選手がこれだけパンチを当てられるようになったのは、多少は成長と言っていいかなと思います(笑)」

――この2年間、手塚選手はUFCにも参戦して、他の選手には経験できないことを経験したと思います。その経験は糧になっていますか。

「(声が大きくなって)なってますね。結果を出せなくてどん底まで落ちたって気持ちもあるし、当たり前のことかもしれないですけど、自分が得意なことばかり練習していても結果が出ないから辛くて辛くて…(苦笑)。これからはどんどん苦手分野を克服して、自分のレベルを上げていきたいです」

――試合後には防衛戦、GRACHAN王者としての他団体進出、そして所英男戦と3つのことをマイクアピールされていました。改めて今後の展望について聞かせていただけますか。

「もちろんGRACHANのベルトは防衛していきますし、もしタイトルに絡ませてもらえる団体があれば、ベルトはたくさん欲しいです。そうやって僕にしか出来ないこともあると思うんで、僕のカラーを出していきたいですね。またMMAファイターである以上、UFCを目指さんとファイターとして終わっていると思うんで、UFCを目標にして常にベクトルは向けています。そこに辿り着くまでは色んな団体に喧嘩を打って、このベルトと一緒に自分も上がっていきたいですね、ちょっと調子乗りすぎかもしれないですけど(笑)。

所選手に関してはこのタイミングで言うしかないかなって。僕は10年掛けてベルトという形を残すことが出来て、所選手は10年前から今でもずっと輝いている選手で、ミーハー心かもしれませんが、そういう選手とも戦いたいです。実現するしないは別にして言うだけはタダでしょ(笑)」

――これからは積極的に試合をしていきたいですか。

「はい。いつも試合前は絶望感でいっぱいなんですけど、今回はそれがなかったんで一週間くらい休んだらすぐに始動します。ダメージもほとんどないんで、チャンスがあればどんどん試合をしていきたいです!」

■GRACHAN14×マッハ祭り 試合結果

<GRACHAN MMAバンタム級選手権試合/5分3R>
手塚基伸(日本)
Def.3-0
中村謙作(日本)

<GRACHAN MMAライト級/5分2R>
山本勇気(日本) 
Def.1R1分23秒 by KO
ベンジャミン・セッテ(フランス)

<マッハ祭りMMAフェザー級/5分2R>
中村好史(日本)
Def.2R2分54秒 by 肩固め
キム・ジェギョン(韓国)

<GRACHAN MMAフェザー級/5分2R>
大澤茂樹(日本)
Def.1R3分34秒 by TKO
村田俊(日本)

<GRACHAN MMAフェザー級/5分2R>
咲田ケイジ(日本)
NC.1R
阿仁鬼(日本)
※偶発的なバッティングで咲田が負傷

<マッハ祭りMMAライト級/5分2R>
永瀬功(日本)
Def.1R2分36秒 by TKO
TOSHI(日本)

<GRACHAN MMAバンタム級/5分2R>
石田晋士(日本)
Def.1R0分32秒 by KO
上山知暁(日本)

<マッハ祭りMMAウェルター級/5分2R>
寒川直喜(日本)
Def.1R1分30秒 by TKO
三浦康彰(日本)

<GRACHAN MMAバンタム級/5分2R>
ROY(日本)
Def.1R2分24秒 by 三角絞め
石川良如(日本)

<GRACHAN MMAウェルター級/5分2R>
秀虎(日本)
Def.3-0
佐々木克義(日本)

<マッハ祭りMMAフェザー級/5分2R>
高橋憲次郎(日本)
Def.2R3分9秒 by TKO
イ・ドギュン(韓国)

<70kg契約/5分1R>
門脇英基(日本)
Def.1R3分18秒 by アームロック
西野聡(日本)

<GRACHAN MMA無差別級/3分2R>
オリバ(日本)
Def.1R0分37秒 by アキレス腱固め
淳平(日本)

<マッハ祭りMMA女子60kg契約/3分2R>
宮内みき(日本)
Def.3-0
石塚胡桃(日本)

<マッハ祭りMMAミドル級/5分2R>
近藤秀人(日本)
Def.1R1分44秒 by TKO
“行動隊長”乱(日本)

<GRACHAN MMAバンタム級/5分2R>
ZERO(日本)
Def.3-0
臼井曹(日本)

<GRACHAN MMAウェルター-級/5分2R>
ジョシュア・ロビンソン(米国)
Def.2R2分12秒 by TKO
横山浩太(日本)

<マッハ祭りKICKルール・62kg契約/3分2R>
千島広明(日本)
Draw.1-0
大場隆行(日本)

<マッハ祭りKICKルール・58kg契約/3分3R>
中里康広(日本)
Def.2R2分38秒 by KO
蓮沼健太郎(日本)

<GRACHAN MMAライトヘビー級/5分2R>
亮太(日本)
Def.1R終了時 by TKO
大久保和宏(日本)

<マッハ祭りMMAライト級/5分2R>
沼尻和之(日本)
Def.1R2分2秒 by リアネイキッドチョーク
小林拓伍(日本)

<GRACHAN MMAライト級/5分2R>
野副忠佑(日本)
不戦勝 
野津陽介(日本)
※野津が体重超過で試合中止

<マッハ祭りMMAライト級/5分2R>
篠原アンジェロ(日本)
Def.1R3分40秒 by リアネイキッドチョーク
坂東太郎(日本) 

<マッハ祭りMMAフェザー級/5分2R>
崎山勲(日本)
Def.3-0
野村克也(日本)

<GRACHAN MMAフェザー級/5分2R>
東修平(日本)
Def.2R1分7秒 by KO
友野晴敏(日本)

<マッハ祭りKICK Jr.(高校生)・51kg契約/3分2R> 
東冷児(日本)
Def.3-0:30-27, 30-27, 29-28
常世田大樹(日本)

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