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【GRACHAN14×マッハ祭り】寒川直喜 「ルールに関係なく」

Naoki Samukawa

【写真】パウンドでTKO、勝ち名乗りを受ける寒川直喜 (C)TAKUMI NAKAMURA

20日(日)東京都江東区のディファ有明で開催された「GRACHAN14×マッハ祭り」。キックボクサーとしても活躍する寒川直喜はMMAの試合で昨年のDEEPフューチャーキングトーナメント王者、三浦康彰にTKO勝利した。

<マッハ祭りMMAウェルター級/5分2R>
寒川直喜(日本)
Def.1R1分30秒 by TKO
三浦康彰(日本)

プロキックボクサーとして活躍する一方、ミャンマーラウェイや散打での試合経験もある寒川。今大会では2013年6月「DEEP 61 IMPACT」での悠太戦以来、約17カ月ぶりにMMAの試合に挑んだ。

1R、ジャブを突いて距離を測る寒川。三浦がダブルレッグに入ると左手で三浦の顔をはがすようにテイクダウン狙いを切る。そのまま三浦が立ち上がり、寒川をケージまで押し込むと、ケージに体を預けた寒川は右腕で三浦の左腕を小手に巻き、左手で三浦の右手を抑える。そして自分の頭を使って距離を作る首相撲的なディフェンスで三浦にテイクダウンを許さない。

TD defense【写真】しっかりとテイクダウンも切っていった(C)TAKUMI NAKAMURA

三浦がダブルレッグに切り替えても、しっかりと両足を外側に飛ばして足を触らせない寒川。強引に足をかけてテイクダウンしようとした三浦を押しつぶして、インサイドガードに収まると背筋を伸ばして強烈な右ストレートを連打。三浦の動きが止まったところで、レフェリーが試合をストップした。

組みへの対応、ケージを使ったテイクダウンディフェンス、そしてインサイドガードからのパウンドと、本職のMMAファイターと比べても何ら遜色のないMMAを見せた寒川。試合後、ケージ内での勝利者インタビューでは「キックだけじゃなく、今後も総合の試合を続けていく」とMMAへの定期参戦もアピールした。バックステージではセコンドについた第2代DEEPライト級王者・帯谷信弘のアドバイス、そしてバンゲリングベイ・スピリット新田明臣代表のミット打ちが勝因だったことを明かしてくれた。

――17カ月ぶりのMMA戦は見事なパウンドアウトでしたね。

「ありがとうございます。ちょっと怪我があってMMAの試合から遠ざかっていたのですが、その間に筋トレをたくさんやって身体を作ってきました。そのおかげで今までよりも楽にタックルを切ることが出来てパウンドもいい感じに打てました。ただあのフィニッシュは自分でも意外でしたね」

――MMAの試合が空いたのは怪我が理由だったのですか。

「そうですね。キックの試合には影響がない…というか気合いで出来る怪我だったので、キックの試合は続けていました」

――久々のMMAでしたが、ケージを使ったテイクダウンディフェンスには驚きました。今回の試合に向けて練習していたのですか。

「全く練習してなかったです(笑)。今日、会場に入ってからセコンドの帯谷に金網を使ったタックルの切り方を教わったくらいです。UFCを見ていて金網の使い方が何となく頭に入っていたのと、あとは金網チェックとアップの時に帯谷に教わっただけです」

――それは驚きです…。

「対戦相手の映像も見てなかったんですよ。とりあえず耳を見たらしっかり沸いていたんで、これはタックル来るだろうなって。それにしても上手く行き過ぎました(笑)」

――さすがに相手の腕を小手に巻くテイクダウンディフェンスは練習しているものですよね。

「そうですね。本当はあそこから左のヒザを出したかったんですけど、押し込んでくる力が強かったんで、まだヒザは出さない方がいいかなと思いました。それを抜きにしても金網を使ってテイクダウンをディフェンスしたり、金網に沿って動いてタックルを切るとか、そういう動きを出来たことはいい経験になりました」

――投げを潰してトップポジションを取った後、インサイドガードからのパウンドも強烈でしたね。

「あれは新田会長のミットのおかげです。自分はKOが少ないんで、新田会長にパンチを効かせる打ち方をずっと教わっていたんですよ」

――それはパウンドのミット打ちですか。

GnP【写真】キックの試合で課題にしていたパンチがMMAで打てたという寒川(C)TAKUMI NAKAMURA

「いえ、普通にキックのミット打ちです。僕はスタンドでもグラウンドでもパンチを効かせるというのは同じだと思うんですよ。今回は身体を固めて打つことと、ナックルを返して打つことを重点的にやっていて、キックの試合で課題にしていたことがMMAで生きたって感じですね」

――寒川選手はMMAの試合もよく見るのですか。

「UFCはDVDでチェックしているようにしています。アンデウソン・シウバはもちろん好きだし、チアゴ・シウバも好きですね。佇まいとか危険な感じがするじゃないですか。試合でああいう雰囲気を持った選手になりたいですね」

――試合直後のマイクにもありましたが、今後もキックとMMAを並行していく予定ですか。

「はい。今回は6月19日に藤原祭り、7月3日にグルジアでキックの世界タイトル(WFC)、そして今日。ちょうど1カ月間で3試合やったんですけど、これからもキックもMMAもどちらもやっていくつもりです」

――寒川選手がキック以外のルールにも挑戦する理由は何ですか。

「僕は初期のシューターの選手たちに憧れていて。オファーが来たらどんなルールに挑戦する、そういう格闘技が好きなんですよ。だから自分もそれを実践していきたいです」

――今回のパウンドのようにキックとMMAでリンクするものもありますか。

「たくさんありますね。例えばキックボクサーは総合格闘家とキックの試合をやるのが嫌だと思うんですよ。やっぱりパワーとか力は総合の選手の方が強いから。自分は普段から総合の練習をやっているんですけど、理想はルールに関係なく『コイツと戦うのは嫌だな』と思われる選手です。さっきのチアゴ・シウバもそうだし、ヴァンダレイ・シウバが相手だったら総合でもキックでも、どちらでもやりたくないじゃないですか。実力的にはまだまだですけど、夢はでっかく持ちたいです」

――キックとMMA、両ジャンルでの活躍を期待しています。

「ありがとうございます。次の試合はまだ決まっていないですが、ルールに関係なく若い選手には負けないように頑張ります」

■GRACHAN14×マッハ祭り 試合結果

<GRACHAN MMAバンタム級選手権試合/5分3R>
[挑戦者] 手塚基伸(日本)
Def.3-0
[王者] 中村謙作(日本)

<GRACHAN MMAライト級/5分2R>
山本勇気(日本) 
Def.1R1分23秒 by KO
ベンジャミン・セッテ(フランス)

<マッハ祭りMMAフェザー級/5分2R>
中村好史(日本)
Def.2R2分54秒 by 肩固め
キム・ジェギョン(韓国)

<GRACHAN MMAフェザー級/5分2R>
大澤茂樹(日本)
Def.1R3分34秒 by TKO
村田俊(日本)

<GRACHAN MMAフェザー級/5分2R>
咲田ケイジ(日本)
NC.1R
阿仁鬼(日本)
※偶発的なバッティングで咲田が負傷

<マッハ祭りMMAライト級/5分2R>
永瀬功(日本)
Def.1R2分36秒 by TKO
TOSHI(日本)

<GRACHAN MMAバンタム級/5分2R>
石田晋士(日本)
Def.1R0分32秒 by KO
上山知暁(日本)

<マッハ祭りMMAウェルター級/5分2R>
寒川直喜(日本)
Def.1R1分30秒 by TKO
三浦康彰(日本)

<GRACHAN MMAバンタム級/5分2R>
ROY(日本)
Def.1R2分24秒 by 三角絞め
石川良如(日本)

<GRACHAN MMAウェルター級/5分2R>
秀虎(日本)
Def.3-0
佐々木克義(日本)

<マッハ祭りMMAフェザー級/5分2R>
高橋憲次郎(日本)
Def.2R3分9秒 by TKO
イ・ドギュン(韓国)

<70kg契約/5分1R>
門脇英基(日本)
Def.1R3分18秒 by アームロック
西野聡(日本)

<GRACHAN MMA無差別級/3分2R>
オリバ(日本)
Def.1R0分37秒 by アキレス腱固め
淳平(日本)

<マッハ祭りMMA女子60kg契約/3分2R>
宮内みき(日本)
Def.3-0
石塚胡桃(日本)

<マッハ祭りMMAミドル級/5分2R>
近藤秀人(日本)
Def.1R1分44秒 by TKO
“行動隊長”乱(日本)

<GRACHAN MMAバンタム級/5分2R>
ZERO(日本)
Def.3-0
臼井曹(日本)

<GRACHAN MMAウェルター-級/5分2R>
ジョシュア・ロビンソン(米国)
Def.2R2分12秒 by TKO
横山浩太(日本)

<マッハ祭りKICKルール・62kg契約/3分2R>
千島広明(日本)
Draw.1-0
大場隆行(日本)

<マッハ祭りKICKルール・58kg契約/3分3R>
中里康広(日本)
Def.2R2分38秒 by KO
蓮沼健太郎(日本)

<GRACHAN MMAライトヘビー級/5分2R>
亮太(日本)
Def.1R終了時 by TKO
大久保和宏(日本)

<マッハ祭りMMAライト級/5分2R>
沼尻和之(日本)
Def.1R2分2秒 by リアネイキッドチョーク
小林拓伍(日本)

<GRACHAN MMAライト級/5分2R>
野副忠佑(日本)
不戦勝 
野津陽介(日本)
※野津が体重超過で試合中止

<マッハ祭りMMAライト級/5分2R>
篠原アンジェロ(日本)
Def.1R3分40秒 by リアネイキッドチョーク
坂東太郎(日本) 

<マッハ祭りMMAフェザー級/5分2R>
崎山勲(日本)
Def.3-0
野村克也(日本)

<GRACHAN MMAフェザー級/5分2R>
東修平(日本)
Def.2R1分7秒 by KO
友野晴敏(日本)

<マッハ祭りKICK Jr.(高校生)・51kg契約/3分2R> 
東冷児(日本)
Def.3-0:30-27, 30-27, 29-28
常世田大樹(日本)

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