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【WJJC】ミヤオ兄弟、メンデス兄弟、ロ、日本人も。ワールド見所

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【写真】現代柔術界のP4Pともいえるレアンドロ・ロ。メジオ級に階級を上げて、オープンの制覇も目論む(C)COPA PODIO

29日(木・現地時間)から6月1日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア州立大学ロングビーチ校のウォルター・ピラミッドにて、ワールド柔術チャンピオンシップ。ムンジアルの名でも親しまれてきた当大会において、土日に行われる黒帯の部こそ本年度世界最強の競技柔術家を決定する舞台といっていいだろう。そんなワールド柔術選手権、まずは軽→中、5階級の見所を紹介しよう。

【ルースター級】
近年カイオ・テハとブルーノ・マルファシーニによる一騎打ち(一昨年はマルファシーニが、昨年はテハが僅差で勝利)が続いていたこの最軽量級だが、残念なことにテハは体調不良により、欠場を表明。しかし、今年はテハに変わる強力なライバルがマルファシーニの前に立ちはだかる。ミヤオ兄弟の弟ジョアオが、階級を落として参戦してきたのだ。先日のワールドプロ大会において、代名詞のベリンボロだけでなく、上攻めや極め狙いなども披露し着実に技術の広がりを見せつけた上で優勝したミヤオ。対するマルファシーニは、凄まじいスピードと身体能力を誇りパス、スイープ、極めと最高の完成度を誇るベテラン。ジョアオが順調に体重を落とせるかどうかという問題もあるが、注目の新旧対決は順調に行けば決勝で実現する。またこの階級には日本勢も大量参戦しており、特に今年のヨーロピアンで準優勝の芝本幸司は上位入賞が期待されている。準決勝まで勝ち上がればミヤオとの一騎打ちが見られる可能性が高い。

【ライトフェザー級】
去年優勝のガブリエル・モラエスと、メンデス兄弟の兄ギリャルメ・メンデスの両者が本命となるこの階級。順調に行けば決勝で二人の対戦が実現しそうだが、モラエスのブロックには超新星ミヤオ兄弟の兄パウロが控えている。去年無差別級でキーナン・コーネリアスを倒し茶帯の部を完全制覇したパウロが、黒帯一年目にして世界一の座に就く可能性も否定できない。さらに日本の柔術ファンにとって楽しみなのは、2008年準優勝者の吉岡大の参戦だ。組み合わせでは、2試合勝てばパウロとの試合が実現する可能性が高い。柔軟な体を利して決してパスされないガードを誇った吉岡が、いわゆる「モダン柔術」技術が猛威をふるう現在の世界最高峰の舞台でいかなる闘いをみせてくれるのか、俄然注目だ。なお、昨年3位入賞の佐々幸範は今年の参戦は見送っている。同階級には日本のベリンボロ使い加古拓人も出場、初戦で紫と茶帯でワールドを制しているトーマス・リスボアが相手となる。ここを乗り越えると、一気に乗る可能性も。

【フェザー級】
タンキーニョことアウグスト・メンデス、モダン柔術技術の本家ハファエル(ハファ)・メンデス、コブリーニャことフーベンス・シャーレスの三人が突出した実力を誇るこの階級。昨年優勝のタンキーニョは残念ながら欠場のようで、今年もハファとコブリーニャのライバル対決が決勝で実現する可能性が非常に高い。近年ギ、ノーギの両方においてコブリーニャに連勝を続けていたのはハファ。しかし、コブリーニャは昨年のADCC大会決勝において、鬼気迫るテイクダウン攻勢をかけてついにハファを倒してみせた。ホイラー・グレイシーから「もう誰もこの組み合わせは見たくないだろう」と言わてしまうほど何度も戦っている二人。それはそれだけ両者の実力が突出していることの証でもある。50/50の体勢でのシーソーゲーム以外の展開を期待したいところだ。岩崎正寛がベテランのサンドロ・バタタと初戦で対戦、ハーフからの鬼スイープを決め、勢いに乗って欲しいところだ。

【ライト級】
先日、ムンジアル前哨戦のワールド・プロ大会を制した浜松ボンサイ柔術のホベルト・サトシ・ソウザが出場することで、日本柔術界の悲願である世界王者輩出が期待されるのがこの階級だ。天敵であるレアンドロ・ロが階級を上げた今、サトシにとって最大の壁はパン大会でワンツー・フィニッシュを決めたマイケル・ランギとルーカス・レプリのアリアンシコンビ、そしてアトス所属のJTトレスだろう。順調に勝ち進めばサトシは準決勝でレプリと、そして決勝ではランギとJTの勝者との対戦ということになる。近年この3人全員からスイープによる勝利をあげているサトシ。「日本の柔術の力を世界に示したい」と常に語り、上からも下からもダイナミックに仕掛け見る者を魅了するこの男が、世界を制する可能性は高い。細川顕は順調に勝てば3回戦でレプリか、日本の時任拓磨と対戦することになる。

【ミドル級】
強豪ひしめくこの階級の大本命が、昨年のライト級世界王者レアンドロ・ロであることに異論を挟む者はいまい。階級を上げたロの最近の強さは凄まじいの一言。今年すでにパン大会とワールドプロ大会のミドル級を制しただけでなく、重量級や無差別級でも大活躍。驚異のパスガード力とパス不可能のオープンガードに加え、先日のコパ・ポシオでは極め力まで見せつけて圧勝したロが、今回はどんな強さを見せてくれるのか。順調に行けばロは準決勝ではヴィクトー・エスティマとクラウジオ・カラザンスの勝者と対戦か(ただし、先日のコパ・ポジオで力を示した新鋭タナー・ライスの力も侮れない)。そして決勝で当たるのは前回優勝のオターヴィオ・ソウザ、近年躍進が目覚ましいヴィトー・オリヴェイラ、先日のメタモリスでハファ・メンデスのベリンボロを凌いでドローに持ち込んだクラーク・グレイシーあたりか。なおこちらのブロックには浜松ボンサイ柔術のマルキーニョス・ソウザ、オーストラリアの新星キット・デイルの二人も階級を落としてエントリーしており、上位入賞を期待したい。

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