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【WJJC】嶋田裕太、銅メダル獲得も悔し涙は止まらず……

2014.05.30

Podium

【写真】誰もが望む表彰台に上り、この表情の嶋田裕太。世界3位の悔しさを糧に、紫帯ではなく黒帯の頂点を目指し精進してほしい (C)MMAPLANET

29日(木・現地時間)、カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア州立大学ピラミッドで大会初日を迎えたワールド柔術チャンピオンシップ。この日、紫帯ライトフェザー級にエントリーした嶋田裕太は、準決勝で敗れ3位に。念願の初優勝こそならなかったが、右肩鎖骨骨挫傷をおしての出場で、表彰台の一角を得る健闘ぶりを見せた。

1st round大会2週間前の投げ技のスパーリング中に右肩を負傷していた嶋田は、試合直前に対人練習を控えるような状態で世界大会に挑んでいた。前夜も寝返りも打てないような状況だった嶋田は優勝まで6試合という長丁場、最初の難関を初戦ライアン・クレイ戦と踏んでいた。東海岸のトーナメントで数々の結果を残し、一目置かれているクレイがまず嶋田をスイープ。すかさずスイープを返した嶋田は、試合終盤にテイクダウンから引き込み、再びスイープを決め4-2で快勝した。

2nd round続く2回戦はエンリケ・ヒーゾと対戦。嶋田は三角絞めを防ぎ跳びつき三角をすかしたが、初戦同様にスイープを決められるも、即スイープを返す。ここからはパス、リバーサル、さらにニーインベリーで加点し9-2となったところでヒーゾが左腕の不調を訴え棄権、嶋田が3回戦に駒を進めることとなった。試合前から右肩を氷で冷やし、感覚を麻痺させた状態で戦う嶋田の動きに対し、師・植松直哉は「相手の仕掛けに対し、反応は普段よりやや遅いです。ただ、自力で勝っている」と分析していた。

3rd round試合を重ねるごとに動きにキレが出てきた嶋田の続く対戦相手カイル・ジェネ・コーイングは、名門グレイシーバッハ所属。レスラーのような低い構えのジェネは、すぐに嶋田にテイクダウンを許すも、がぶりのように首を取りながら上を取り返す動きでポイント2-2に追いつく。ホムロ・バハルのアドバイスを受け、パスのプレッシャーを掛けるジェネから嶋田はリバーサルを決める。再び、首を取ってきたジェネに対し、今度は嶋田は下にならず、巴投げを仕掛ける。そのままガードを取った嶋田が、再度スイープを決め6-2で快勝した。

Q-final試合間隔が短くなり、肩を十分に冷やす時間もなくマットサイドにスタンバイしないといけなくなった嶋田。この試合に勝てば表彰台が決まる準々決勝では、それまでの試合で非常に切れのある動きを見せていたカーウソン・グレイシー柔術チームのグラハム・ペクハムとの対戦となった。ペクハムはアキレス腱固めから上を取り、スイープで2点をゲット。直後にリバーサルを返した嶋田は、スタンドに戻るとシングルレッグでテイクダウンを奪い加点。ここからパスを決め、バックマウントから最後は送り襟絞めでしっかりと一本勝ちを手にした。

Semi Final決勝進出を賭けた準決勝、陣営では初戦に続くヤマと考えていたヒガオ・ガマ・ソウザ戦へ。まずはリバーサルで2ポイントを失うが、すかさずリバーサルを仕掛けた嶋田。ここまではポイントをリードされても、直後のアタックで同点に追い付いてきたが、ソウザは尻餅をつく前に立ち上がり、続く足への組みも切って嶋田にポイントを与えなかった。ここから試合はソウザのペースに。嶋田はもう一度リバーサルを許し、腕十字のセットアップで攻め込まれる。嶋田の仕掛けを時にはすかし、時にはカウンターを合わせるソウザ。さらにマウントを奪いポイントを8-0にすると、嶋田の魂の反撃リバーサルも食い止め、そのまま試合終了に。マットを離れた直後に泣き崩れた嶋田をソウザのコーチ、いわば敵将のアレッシャンドリ・パイヴァが「ユータ、良くやった」と慰める。

嶋田は昨年、パイヴァが属するアリアンシ柔術の総本山で出稽古を行なっており、ファービオ・グージェウ御大も試合後に彼の健闘を称えていた。優勝はソウザを下したATOS所属マイケル・ムスメシJrの手に。今年18歳になるムスメシJrは、表彰台の上でも涙にくれる嶋田をよそにギィ・メンデスから茶帯を巻かれ紫帯ライトフェザー級はフィナーレを迎えた。

嶋田裕太
「1年目に挑戦した時よりも、今回の大会に向けての方が練習環境や気持ち的にも良い状態だったんですけど、直前に怪我をしてしまって……言い訳になってしまいますが、良い状態で出られなかったのが、とても悔しいです。でも、試合中に肩の痛みを感じることはありませんでした。本番だけじゃなくて、本番に向けてコンディション作りも含めてのワールドへのチャレンジだと思うので来年は、試合をするということだけでなくて、試合前の部分も含めてしっかりと調整してリベンジをしたいと思います。

去年、結果が残せなかったにも関わらず、今年も快く自分を送り出してくれた皆さんに感謝しています。また、一から頑張りますので、どうか引き続き応援よろしくお願いします。1週間ほどカリフォルニアに残って、こちらの道場で可能な限り吸収できるものを吸収して帰国したいと思います。来年に向けて、気持ちを切り替え新たな一本を踏み出したいです」

帰国後の嶋田の予定は、ケガの回復具合にもよるが、7月6日(日)に東京墨田区・墨田区総合体育館で行われる全日本選抜サンボ選手権大会兼2014年世界サンボ選手権大会日本代表選手最終選考会に出場する予定だ。

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