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【OFC14】漆谷、モライシュ相手にアウトMMAで真価を発揮?!

Yasuhiro Urushitani

【写真】モライシュ相手だからこそ、漆スタイルの真価が問われる。真価した漆谷のアウトMMAに期待・大 (C)MMAPLANET

14日(金・現地時間)にマレーシアの首都クアラルンプールのスタジアム・ネガラで行われるOFC14「WAR OF NATIONS」。メインでブロック・ラーソンとOFC世界ウェルター級王座決定戦に臨む鈴木信達を始め、今大会には朴光哲、BJ、漆谷康宏4名もの日本人選手が出場する。

楽な戦いはアジアにももうない。今年に入ってからRFC3大会とPXC1大会、そしてUFCアジア2大会、計5大会の日本人ファイターの通算戦績は、全18試合7勝10敗1分だ。今回の4選手も楽な戦いにはならない。特に世界戦に臨む鈴木に並び、フライ級王座を目指す漆谷も厳しい相手が用意されたといってよいだろう。

アドリアーノ・モライシュは、昨年11月のOFC初陣こそユーサップ・サーデュラエフとのキャッチウェイト戦でスプリット判定負けを喫しているが、それ以前はブラジルで9連勝を果たし、修斗南米バンタム級(※56キロ)王者にも就いている。漆谷は元修斗世界バンタム級王者であり、この一戦はプロ修斗の新旧・世界&地区王者対決でもある。素早い打撃と優れたグラウンド・コントロールを持つモライシュに対し、漆谷はそのアウトMMAで徹底させたい。

モライシュの打撃は切れる。ミドルでKO勝ちをしたこともあり、蹴りも使いこなす。いわゆるジョゼ・アルド以降のブラジル系MMAファイターだ。ただし、その打撃よりも気をつけたいのはテイクダウン、そして組みついてからのバック奪取だ。ベースはレスリング、元慧舟會所属の漆谷だが、寝技には持ち込まれたくない。そのためにはモライシュに組ませないこと。相手の距離を潰す戦い方は、それこそ漆谷の真骨頂だ。長年、戦ってきた日本人との対戦と比較し、勢いが強く、当てても怯まない海外勢との戦いを漆谷はUFCで経験してきた。

敗れたとはいえジョン・リネケルの圧力を経験している漆谷だ、モライシュの間合いをしっかり外して、得意の被せる右フックを打ち込みたい。何よりもモライシュに下がらせられるのではなく、自ら下がる――回るファイトで距離を築いてほしい。そうすれば、漆谷の動きにつられて前に出てくるモライシュにジャブ、フックに加え、前足を潰すロー、あるいは腹を狙って左の蹴りも効果的な攻撃となるはず。

組みつくのを得意とするモライシュ相手に、キックを使うことで蹴り足をキャッチされるという危険性は残る。特にモライシュのタイミングで、彼が踏み込んできたときに、蹴って突き放そうとするケースだ。リネケル戦における飛びヒザがこのケースに当たる。相手のプレッシャーに圧されて真上に飛ぶようなヒザは威力がなく、直後にフックを浴びてしまった。モライシュ戦で同じような展開で蹴りを見せると、キャッチされて組まれてしまう。モライシュが自分のタイミングで前に出てきた場合は、構わず回る漆スタイルを貫いてほしい。

漆谷が回ることで、彼の術中にはまってモライシュが出てきたところが狙い目。左ミドル、左ハイの残像を残せば、その踏み込みも甘くなり、漆谷のアウトMMAで試合を支配することが可能になる。日本人ファイターを完封した漆流アウトMMAがブラジルの新鋭を封じ込めることができるか、ベテランの真価が問われるモライシュ戦となる。

■ OFC14「War of Nations」対戦カード

<OFC世界ウェルター級王座決定戦/5分5R>
ブロック・ラーソン(米国)
鈴木信達(日本)

<バンタム級/5分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
キム・デフォン(韓国)

<フライ級/5分3R>
アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
漆谷康宏(日本)

<ライト級/5分3R>
カマル・シャロルス(イラン)
アリエル・セクストン(コスタリカ)

<フライ級/5分3R>
アンドリュー・レオーネ(米国)
BJ(日本)

<ライト級/5分3R>
朴光哲(日本)
アルナウド・ルポン(フランス)

<ライト級/5分3R>
ピーター・デイビス(マレーシア)
ワカル・ウマル(パキスタン)

<フェザー級/5分3R>
ハリス・サルミエント(米国)
エウベウ・バーンズ(ブラジル)

<女子ストロー級/5分3R>
アン・オスマン(マレーシア)
シェリリン・リン(シンガポール)

<フライ級/5分3R>
サイフル・メリカン(マレーシア)
キム・ディマ(カンボジア)

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