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【WEC48】アルドがユライア下し、力の差を誇示

■第11試合 WEC世界フェザー級選手権試合/5分5R
[王者]ジョゼ・アルド(ブラジル)
Def.5R終了/判定
[挑戦者]ユライア・フェイバー(米国)

【写真】ローキックで一回転、ヒューズ・ポジションからパウンド――、あのユライアがアルドの前に成す術なく敗北した (C) ZUFFA

ユライアへの声援の余りの大きさに、尋常ではない館内の雰囲気。王者アルドには、WEC史上最大のブーイングが送られる。キャンバスに視線を落としたままの王者は、試合開始とともに視線を上げる。まずはユライアの前蹴りをバックステップでかわしたアルドは、続いて左ハイもブロック、左右のストレートも余裕を持って見切る。

右を2発連続で見せたユライアは、左から右とパンチを続けるがアルドには届かない。ここでアルドが初めて、ローを繰り出す。続いて、アルドが前蹴りにローを合わせると、ユライアは尻持ちをつく。左ボディから右ローを繰り出したアルドに対し、ユライアがテイクダウンを試みるが、これも距離をとってかわしていく。ユライアも深追いはせず、サークリングからスイッチすると、アルドの右ローは大きく空を切り、これだけで場内から大きな歓声が起こる。


前に出たアルドを、ユライアは前蹴りで突き飛ばす。徐々にユライアの攻撃が届くようになるが、王者の攻撃でバランスを崩してしまう。右フックが空を切ったユライア、後ろ回し蹴りのタイミングをずらし、右ストレートが放ったところで初回を終える。

2R、ユライアの突進をかわすアルドは、素早いジャブも避けて左ミドル、ローを蹴り込む。ユライアの攻撃は再び届かなくなり、アルドの左ストレートがその顔面を捉える。ユライアの右をブロックした王者は、ここでもローを散らしていく。アルドのヒザをキャッチするが、すぐに距離を取られたユライアは、テイクダウンのフェイントから右ハイを見せるものの、これもまた空を切った。

アルドの右ローで、体がよれ始めたユライア。スイッチし、アルドの左ボディをかわす。一瞬、一瞬の交錯が異様な緊張感を伴う試合は、アルドのローでユライアがクルリと一回転。距離を詰め始めたアルドのローがユライアのバランスを崩し、攻撃の芽を摘み始める。アルドの右ストレートで距離が縮まると、ユライアがヒザを狙うがこれもヒットしない。ローを効かされるユライア、その注意が下に集中するところで、アルドが右ハイを見せたが、これは挑戦者がブロックした。

3R、オーソからサウスポーに構える時間が増えたユライア。左足が効いている証か。オーソになった瞬間に、ローでなく左ボディを見舞ったアルドは、さらに右ローを重ねていく。左足だけでなく、右足も蹴り込むアルドの前にユライアのスピードがみるみる奪われていく。

右ミドル、右ロー、さらに右ハイと一発一発を丁寧にヒットさせるアルドは、ユライアの反撃を受けずに、左ボディを放つ。アルドの右ローをキャッチしたユライアが、初めて王者に尻持ちをつかせるが、すぐにアルドは立ち上がる。と、右ハイをヒットさせた直後にパンチを集中させたアルドは、ユライアがパンチを振るうと冷静に距離を取り直す。

右ローを受ける度に体がクルリと時計回りに回転してしまうユライアは、ローをキャッチしようとしたが失敗し、スタンスも棒立ちになっている。追い込まれていくユライアに左右のフックを見舞い、さらに右ローを蹴り込むと、ついに挑戦者がマットに這い始める。ラウンド終了のホーンに助けられた格好で、ユライアは3Rを終えた。

4R、アルドは右ストレートを伸ばし、ユライアを威嚇する。左ジャブを2発、続いて右ローでユライアの動きを止める。ユライアは必死に組みつくが、足がついてこず自らバランスを崩してしまう。マウントを奪ったアルドは、そのままバックグラブに移行し、チョークを狙う。ユライアは両手首を掴み、胸を合わせることに成功したが、すぐにアルドは立ちあがる。

右ローで崩れ落ちたユライアは、パウンドを受け潜りスイープへ。首を殺し、パスに成功したアルドはクルスフィックから顔面にパウンドを集中する。ユライアのブリッジにも、万全のヒューズ・ポジションを取った王者は、左エルボーとパウンドを落とし続ける。残り30秒、パンチを受け続けるユライアの動きが少なくなってくる。ブリッジし、ヒザを突き上げるユライアは、永遠のような30秒を耐えきり、最終ラウンドに進むことに。

「スタンドで決めろ」という師匠アンドレ・ペデネイラスの叱咤を受けた王者は、ユライアの突進をかわすと、右ローを放つ。サウスポーに構えるユライアだが、攻撃のリズムを掴めず、すぐにオーソに戻す。必死にテイクダウンを狙ったユライア、足を引き抜かれてガードを強いられる。スタンドで待ちうけるアルド、レフェリーはブレイクを掛けない。

ようやくブレイクが掛り、ユライアがスタンドへ戻るが、サウスポーを続けたままだ。テイクダウン狙いから、前方へ一回転し、立ち上がったユライア。逆転へ攻め手がない。残り90秒、簡単にユライアのテイクダウン・アテンプトを切ったアルドは、左ボディを思い切り打ち込む。無理に攻めない王者、ユライアはテイクダウン狙いから、ガードへ。残り40秒となっても、寝転がったままのユライアは、立ち上がることができず、王者が背中を向けて距離を取ったところでタイムアップとなった。

最後はアグレッシブさが売りのユライアが、サバイバルに転じたように、5R判定となったが、アルドは圧倒的な力の差を見せつけた。結果、判定は49-45が2人、50-45が1人。このスコアが、両者の差を示していた。

「ユライアはとてもタフで、グレートなチャンピオンだった。ユライアがスイッチすると、無理せず攻めなかった。自分が練習で積んできたこと以外はできない」と最後までクールだった王者アルド。「レッグキックのディフェンスは一生懸命やってきたんだけど――。アルドは速かった、タフな試合になったよ」というユライアに、最後まで地元のファンは大歓声を送り続けた。

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