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【UFC112】極めるムエタイファイター×殴る柔術家

2010.04.09

(C) MMAPLANET10日(土・現地時間)にアラブ首長国連邦アブダビのヤス島、フェラーリワールドで開催されるUFC112「Invincible」。UFCにとって初の中近東での大会には、英国籍を持つファイターが5人も出場。なかでもメインカードでハファエル・ドスアンジョスと対戦するテリー・エティムは、要注目が必要の大英帝国産MMAファイターだ。

【写真】テリー・エティム、極め合い上等のムエタイファイターは、これまでに3度サブミッション・オブ・ザ・ナイトを獲得している (C) MMAPLANET

日本での知名度はまだまだ低いエティムだが、既にUFCに定着して3年になり、トップ集団入り間近のファイターだ。キャリア9連勝中、21歳でUFCと契約を果たした彼は、デビュー戦こそギロチンチョークで一本勝ちを飾るも、2戦目には先日のUFN21で宇野薫を下したグレイソン・チバウに判定でキャリア初黒星を喫した。

続く3戦目もリッチ・クレメンティに判定負けし、早くも崖っぷちのUFCファイター生活へ。その後はもっぱら英国&欧州大会要員としてアンダーカード出場が続いたが、この間4連勝を達成し、今回のアブダビ大会でPPVラインナップにその名を連ねることになった。


デビュー戦のマット・グレース戦、そして最近2試合ではギロチン&ダース・チョークによってサブミッション・オブ・ザ・ナイトを獲得しているエティム。マルセロ・ブリガデイロの指導の下、ルタリーブリの技術を習得した成果が一本勝ちの多さにつながっている。

とはいってもエティムは本来、リバプールの名伯楽コリン・へーロンに手ほどきを受けたムエタイがベースの打撃系ファイター。長いリーチを活かしたパンチ、切れ味鋭い蹴り、そして首相撲からのヒザ蹴りを得意とする。

対戦相手のハファエル・ドスアンジョスは、グレイシー・フュージョン所属の柔術ベースのファイターで、「柔術だけでなく、ムエタイでもエティムと勝負できる」と語っているが、テイクダウンからトップを奪い寝技勝負を仕掛けてくるに違いない。

打撃ではエティムが上。さらにはテイクダウン狙いに際し、首を取ることにも長けており、ドスアンジョスを下し、3年振りの米国進出を狙う。「ファイトはフィニッシュして、ナンボのもの」と断言するエティム。キャリア14勝のうち判定勝ちは僅か一度、その他は11試合で一本勝ち、そして2試合でTKO勝ちを収めている。

極めるムエタイファイター=エティム、殴る柔術家=ドスアンジョスの対戦は、身長&リーチで上回るエティム有利と予想される。

また、PPVオープニングの一戦は、TUFシーズン3優勝の貯金も底をつきはじめたケンドール・グローブと、WEC移籍からUFC戦績2勝1敗のマーク・ムニョスのミドル級戦。アブダビにはフィリピン人労働者も多いが、最も安価な入場料でさえ日本円では1万円ほど。フィリピン系米国人のムニョスにタガログ語の声援が届くかどうか。

ブラックハウスのレスリングコーチに就任したムニョスにとって、飛躍を賭けた大切な一戦であり、母国語でのサポートは彼に力を与えることになるに違いない。

出稼ぎ労働者の支持をムニョスが集められるなら、アンダーカードの第1試合に出場するムスタファ・アルトゥルクは、レバノン生まれの英国人ファイターで、同じアラビア語圏ということもあり、会場人気が高くなりそうだ。

TUF10ファイターのジョン・マジソンを相手にUFC初勝利を挙げることができるか。ムニョス同様に、観客の声援がアルトゥルクのパフォーマンスに影響を与えるに違いない。

この他、11月のUFC105で、ジャレッド・ハーマンを相手に41秒KOデビューを果たしたスウェーデン人アレクサンダー・グスタフソンも、気になるファイターの一人だ。今回、フィル・デイビスを相手にインパクトを残せば、ジョン・ジョーンズに続くライトヘビー級のアップカミング・タレントとして、今後台風の目として活躍するかもしれない。

■UFC112「INVINCIBLE」全対戦カードは下記の通り

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]アンデウソン・シウバ(ブラジル)
[挑戦者]デミアン・マイア(ブラジル)

<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]BJ・ペン(米国)
[挑戦者]フランク・エドガー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ヘンゾ・グレイシー(ブラジル)
マット・ヒューズ(米国)

<ライト級/5分3R>
ハファエル・ドスアンジョス(ブラジル)
テリー・エティム(英国)

<ミドル級/5分3R>
ケンドール・グローブ(米国)
マーク・ムニョス(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
アレクサンダー・グスタフソン(スウェーデン)
フィル・デイビス(米国)

<ライト級/5分3R>
ポール・テイラー(英国)
ジョン・ガンダーソン(カナダ)

<ウェルター級/5分3R>
ニック・オシベチェック(英国)
リック・ストーリー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ブラッド・ブラックバーン(米国)
ダマルケス・ジョンソン(米国)

<ライト級/5分3R>
ポール・ケリー(英国)
マット・ビーチ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ムスタファ・アルトゥルク(英国)
ジョン・マジソン(米国)

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