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【UFC112】砂漠の英雄ヘンゾ、ヒューズと対戦

2010.04.07

(C) ZUFFAアラブ首長国連邦アブダビのヤス島、フェラーリワールドで10日(土・現地時間)に開催されるUFC112「Invincible」。メインで行われる二大世界以外で、アブダビのファンが最も注目するのが、マット・ヒューズと対戦するヘンゾ・グレイシーの出場だ。

【写真】イィ人キャラのヘンゾだが、内に秘めたる凶暴性は一族いちと言われたこともあった。43歳となった今、UFCでどんなファイトを見せられるか (C) ZUFFA

砂漠の石油大国、UAEの首都アブダブ首長国は、かつて米国遊学時代に、UFCを見た王族のシェイク・タハヌーン・ザイードが、身分を隠したままネルソン・モンテイロの下、柔術を学び、遊学終了後、アブダビコンバット・クラブ(ADCC)を創設したことで格闘技ファンには知られた存在だ。

1998年からADCCが開催するようになった砂漠の組み技の祭典=ADCC世界サブミッションレスリング大会、その第1回大会の77キロ以下級を制したヘンゾだが、アラブの王族との付き合いは、1997年9月にリオデジェネイロで行なわれたペンタゴン・コンバッチというMMA大会まで遡る。


同大会をプロモートしたモンテイロは、グレイシーバッハの黒帯柔術家。ただし、バッハ総帥カリーニョス・グレイシーは当時、柔術の普及においてデンジャラスなイメージを与えるバーリトゥードには反対派として通っていた。

そんなバッハにあって、バーリトゥードへ積極的に出ていたヘンゾをモンテイロは、同イベントのメインに登用。因縁のルタリーブリ代表エウジェニオ・タデウとの一戦をマッチアップした(※結果はセコンドや観客席にも陣取った両陣営400人の大乱闘に発展し、ノーコンテストに終わった)。

ホイス・グレイシーの活躍で柔術道場の門を叩いたタハヌーンと、バッハの駿英ヘンゾの距離が近づいたのは、当然の結果といえる。翌98年のADCC世界大会で世界王者になったヘンゾは、99年こそ表彰台を逃したが、2000年大会に77キロ世界王者に返り咲き、01年以降は、2年に一度の開催となった同大会で2007年まで唯一、全大会出場を続けたファイターであった。

UFCのアブダビ開催に際して、王族とズッファの橋渡しをするなど中心的な関わりをしたヘンゾ。ADCC世界大会でも、王族に雇われたのか、ただ御上の一言か、ヘンゾの出場には現地応援団から一際大きなヘンゾ応援歌が沸き上がったものだ。

アブダビでは世界王者を凌駕するヘンゾ人気。甥ホーレスのセコンドや、先日のUFN21でも公開計量前のトークショーに出演するなど、UFCの会場に馴染みつつあるヘンゾ。かつて日本のPRIDEで90キロ以上の相手と戦っていた時と違い、腰回りが細くなっており、完全にウェルター級ボディとなっている。

ただし、サブミッションレスリングとはいえ、ADCC世界大会で2001年以降は入賞がなく、過去10年間のMMA戦績は4勝6敗。2006年以降は米国にベースを移しIFLとエリートXCで3連勝を挙げているが、43歳、現時点の実力は未知数としかいいようがない。

一方、昨年5月以来11カ月ぶりの実戦となるマット・ヒューズは、「あと数試合、ビッグネームと対戦する現役生活を送っていきたい」と、ヘンゾ戦へ意気込みを語る。タイトル戦線とは別のレジェンド路線ともいえるヘンゾ×ヒューズ戦だが、ヒューズはレジェンド入りするには早過ぎる実力者といえる。

テイクダウン能力、そしてアームロック+パスガードの連係、マット・ヒューズ・ポジションと呼ばれる腕と足を固めた抑え込みからのエルボー攻撃。ヒューズの波状攻撃を砂漠の英雄がどこまで耐えることができるか。そんな予想を裏切るヘンゾの姿を見てみたい。

■UFC112「INVINCIBLE」全対戦カードは下記の通り

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]アンデウソン・シウバ(ブラジル)
[挑戦者]デミアン・マイア(ブラジル)

<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]BJ・ペン(米国)
[挑戦者]フランク・エドガー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ヘンゾ・グレイシー(ブラジル)
マット・ヒューズ(米国)

<ライト級/5分3R>
ハファエル・ドスアンジョス(ブラジル)
テリー・エティン(英国)

<ミドル級/5分3R>
ケンドール・グローブ(米国)
マーク・ムニョス(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
アレクサンダー・グスタフソン(スウェーデン)
フィル・デイビス(米国)

<ライト級/5分3R>
ポール・テイラー(英国)
ジョン・ガンダーソン(カナダ)

<ウェルター級/5分3R>
ニック・オシベチェック(英国)
リック・ストーリー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ブラッド・ブラックバーン(米国)
ダマルケス・ジョンソン(米国)

<ライト級/5分3R>
ポール・ケリー(英国)
マット・ビーチ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ムスタファ・アルトゥルク(英国)
ジョン・マジソン(米国)

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