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【Interview】WSOFへ、岡見勇信<02> 「原点に返った」

Yushin Okami

【写真】ブラジルから帰国後は、3月1日にUFCマカオ大会のメインでジョン・ハザウェイと戦うキム・ドンヒョンと合流するという話も伝わってくる(C)MMAPLANET

3月29日(土・現地時時間)にラスベガスでWSOF初戦を行うことが発表された岡見勇信インタビュー第2弾。

アタックの回数を増やす。そんな目標を掲げる岡見は、2010年より試合前に米国でキャンプを張ってきたが、今はその経験をもとに日本で調整する。新天地でさらなる成長を目指す岡見は『原点に戻った』と言った。

<岡見勇信インタビュー Part.01はコチラから>

――アタックを増やすということは、より正確なディフェンスが必要になってきますね。

「これまでの経験でいえば、ディフェンスが一番大切なんです。そしてアタックの回数を増やすことで、防御力が生きることもある。ただ、前に出るだけじゃ今までの経験が無駄になってしまいますし。リスクのある攻防で、リスクを減らしてアタックの数を増やす。皆に求められる戦いで、自分の理想ですね」

――瞬発力も心肺機能も必要になるハードなスタイルですね。

「ストレングス、フィジカルの練習はこれまで集中できていなかったのですが、ここにきてようやく上がってきました。スパーリングの量も多いし、アタック数も増やしています」

――MMAの練習は、主にどのような選手と行なっているのですか。

「中量級から重量級、色々な選手とやっています。福田力選手、辰己(豪人)、水野(達也)選手、悠羽輝(新村優貴)選手だとか、パンクラスで活躍している安西(信昌)君。慧舟會東京道場に来てもらったり、自分がゴールドジムの大塚に行ったりしてやっています。日本の練習には日本の良さがあって、原点に返った気がしますね。

米国はよりシステマティックで、MMAグローブでガツガツやったりだとかしないですよね。ボクシング・グローブで5分×3Rで終りっていうような感じで。シチュエーション・スパーの多さが米国の良さですよね。

対して日本では、MMAグローブでしっかりと組んでゴリゴリやっていくとか。そういう練習をやっています。川尻選手ともこないだ話す機会があったんですけど、日本のMMAの良さを強さにしていきたいですね。まぁ、厳しい練習ですが、楽しくやっています」

――スパーでゴリゴリやるということは、嫌な奴振りを発揮しているということですね(笑)。

「そうですね。ゴリゴリ、ゴリゴリと(笑)。『あぁ、いいなぁ。久しぶりだな』とか、色々なことを感じながらやっています。自分の強いところは、米国でも通用することは向こうの練習で確認できましたし、その部分を日本で練習してアタックのなかに入れていきたいです」

――米国では競技間の溝が少なく、それぞれの専門家がMMAを考慮した指導をしているのに対し、日本では現役選手がMMA用にアレンジやアジャストしていくケースが多いです。そういう違いもあると思うのですが。

「あらゆる格闘技に戦いのセオリーが存在すると思います。ボクシングにもレスリングにも。そういう部分で、色々な指導を受け、疑問をぶつけてきました。自分の良いところは自分が一番分かっているし、そこで戦うにはセオリーでない、自分の動きをする必要があると思うようになりました。

GSPやチェール(・ソネン)のテイクダウンを真似しても、自分に合っていないとどうにもならない。9月のジャカレ戦のあと、自分に一番合う動きは何なのかを考えてやってきています。色々な経験をしたうえで、原点に戻れたと思います」

――今後は試合前のキャンプも、国内で行うことになるのでしょうか。

「それはやはり相手次第という部分があると思います。米国には米国の利点、日本には日本の利点があるので。ただし、今は相手よりも自分がどれだけできるのかというように考えているので、日本でやってみるのも手かと思います。フィジカルの状態もいいですし、良いスパーもできているので。試合の時は、少し早目に現地に入るようにするぐらいですかね。日本で仕上げていくことも、試してみたいです」

――3月29日のWSOF初戦、開催地は勝手知ったるラスベガスです。

「ラスベガスは練習でも何度も行っていますし、会場の雰囲気、街の雰囲気にも慣れているので、問題ないです」

――ところでTUFシーズン3のアシスタント・コーチでブラジルへ行くという話も聞いています。

「ハイ。ビザが取れ次第、ちょっと行って練習してこようかと。2週間だけ、ブラジル人とガチっとスパーして戻って来ます。これまであまりブラジル人としっかり練習したことがなかったので。チェールが『セキュリティは大丈夫だ』って誘ってくれたんですけど、2月の10日前後には戻って来ようと思っています。チェールは何かと、気にかけてくれるんですよね。最初は『有難いけど、もうUFCの選手じゃないし。UFCのプログラムだから行けない』と伝えていたんですけど……。チェールは優しいんですよ。

まぁ、ブラジルで練習しておくのも経験になると思うので。本音を言えば、日本にいた方が良いという気持ちもあるし、米国なら行っていなかったかもしれないです。でも、これも何かの縁だし。男だったら頑張らないといけないなって。TUF17のキャンプでも良い経験をさせてもらったので。今回もそうしたいです」

――それも岡見選手が世界で戦ってきて身につけた、環境作りなのかもしれないですね。

「まぁ、どれだけ厳しい練習をしていても、試合で厳しい経験、強い相手と戦わないと……。だからUFCの選手は強いんですよ。強い選手と次から次へと当てられて、強いヤツが残っている。そこで煮詰まってしまって、自分を見つめ直す必要がある時もやってくるかもしれない。僕の場合は、UFCをリリースされた時に、こうやってWSOFから話を頂けたことは凄く有難いことです」

――WSOFのミドル級を見渡しますと、元UFCファイターよりもミドル級のジャスティン・ゲイジーのような選手が出てくる可能性がある方が怖いですね。

「ジャスティ・ゲイジー……、あの選手は面白いですよね。WSOFが大会開催数を重ねることで、ミドル級にもああいう選手は出てくると思います。それがWSOFを面白くしていくでしょうし。僕はそこで自分が納得できる試合をやっていく。それだけです」

――岡見選手のWSOFでの活躍願っています。

「本当に新天地で、自分も変わらないといけないと思っていますし、その最高の舞台が整いました。自分が納得し、ファンの皆さんも納得できる戦いをするので、応援よろしくお願います」

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